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柳沢商会-ダイヤモンドのように輝く

更新日:2023年6月3日

柳澤正孝さん(柳沢商会)


創業115年の歴史を誇る柳沢商会。カラーダイヤを独自のルートで輸入するなど発展を遂げている。4代目となる柳澤正孝さんは伝統ある企業で何を守り、何を変えていくのか。経営の考えを聞いた。


−柳沢商会は他の宝石会社とどう違うのですか?

「時代に応じて、その時代のトップのデザイナーや職人さんと共に『日本ならではの精巧なジュエリーを』とこだわってきました。加えて、5年くらい前から天然のカラーダイヤをイスラエルから直接輸入できる独自のルートを開拓することができました。このカラーダイヤはとにかく素材が違います。専門的に天然のカラーダイヤを扱っている会社は他にあまりないです。ダイヤモンドは大体11色あるが、それを全てある程度のサイズでラインナップを整えている会社も少ないです。その商品力をもとに、お客様に専門的な知識をもって紹介することができるというのが最大の特長です」


−創業115年だが、歴史の重みを感じる場面は?

「正直私自身はあまりないです。ただ、この会社や私のことを知ってくださっている方は業界内でも多いので、ある程度歴史があって、我々が扱っているものが注目されているということを認識して、行動は心がけています」


−歴史がある会社において変えるべきことは?

「うちの会社自体は創業115年あります。しかし日本のジュエリー業界という括りで言うと、まだ70〜80年くらいしかない。日本は不思議な国で、弥生時代から明治になるまで身につけるジュエリーという文化が一切ない国で、ジュエリーの歴史が非常に浅い。だから、115年ずっと守ってきたルールというのは特にないんです。代々受け継いできたことは、『ジュエリーを扱う』ということだけで、売り先や商材はその世代で進めてきた会社です。私の代では、カラーダイヤやイスラエルでしかカットできないダイヤ、透明なダイヤでも不純物が一切入っていないもの、といった希少性の高いものにフォーカスして商材を集めて、日本の方にご案内してきています。今やるべきことはそこだと思っています」


−イタリアへの事業展開のきっかけは?

「日本の国土からは宝石が出ないので、基本的にはジュエリーの材料は全て海外からの輸入になります。そんな中で、日本で作ったものがどれだけ世界で通用するかというのをうちの両親が海外でトライしてみたいとなったんです。特に、身に着けるジュエリーの起源が14世紀のイタリアであることから、そこでトライすることになりました。2001年9月にイタリアの現地法人でジュエリーのお店をオープンしたのですが、最初はなかなかうまくいかなかった。たまたま僕が卒業するタイミングだったので、出向する形で現地の社長になりました。最初はイタリア語もわからないし、苦労しました。ジュエリーの知識もなかった。24歳で経営のこともわからなかった。最初はイタリア語や法律を学ぶことから始め、2006年にはなんとか黒字になりました。11年イタリアで暮らしました。最初は体重も15キロも痩せました。健康面も結構大変でした。今となっては若かったからできたが、とてもいい経験をさせてもらいました」


−これから他の国に展開する予定は?

「もちろん今の日本の状況を見ると国力が下がり、人口も減るので、マーケットの大きさという点では中国やアメリカのように人口が増えている国に魅力を感じます。しかし、ジュエリーというもの自体が日本の国土から出るものではないので、ジュエリー=日本にはならない現実がある。イタリアでジレンマを感じたことだが、なぜイタリア人である我々が日本人から買わないといけないのか、というのがあった。いまは海外と日本をつなぐということが我々の役割ではないかと思っています。文化や流通や材料の特性をプロとして日本の方々に詳しく上手にお伝えするのが我々の役割だと思っています」


−ジュエリーのニーズはどう変わっているか

「日本は刻一刻と変わっていると感じます。日本のジュエリーのマーケットは非常に歴史が浅いので、日本の伝統文化として人生のイベントに寄り添っているわけではない。立ち位置が不安定というか、一つくらいジュエリーがあってもいいという時代から、バブルになってもっとたくさんのジュエリーを持つという時代になり、バブルが弾けて、特にこの5年くらいは本当に資産性の高いもの、財産性や換金性のあるものの方が日本のマーケットでは重要視される傾向にあります。バブル期はダイヤモンドでありすればいいという時代だったが、今はダイヤの中でも本当に価値のあるものは何かというのが求められている。そこに我々がマッチしている。投資性や資産性に興味を持っている方にダイヤモンドのことをお話しする機会が増えています」


−経営で一番大切にしていることは?

「お客さんに対して自分達が圧倒的にプロであるということです。日本のジュエリー業界は大変歴史が浅い。物質的にどういうものが入ると何色になるか、といったようなところまで勉強しきれていない人が多いのが現状です。今うちの会社は社員たちも徹底的にダイヤモンドの知識を勉強しています。エンドユーザーとお話しする機会になればいくらでもダイヤモンドのことを話せるという圧倒的な知識があってこそ信頼が得られると思っています。ジュエリーという会社の特性上、あまり大きくすることが大事とは思わない。今うちの会社にいてくれる11人が最後までうちにいてくれればいいと思います。ジュエリーの場合は知識を学ぶのにすごく時間がかかるので、終身雇用って今は古いと言われますが、10年かけて育てた人材を簡単に手放したくはない。なるべく長く少数精鋭で長く続けていけることがベストだと思います」


−ジュエリービジネスの成長余地は?

「これは非常に難しいですが、人口の増減にどうしても比例してきてしまうと思います。非常に残念ながらジュエリーは生活には全く必要のないものなので、生活必需品とは違い、景気が悪くなると興味を持ってもらいにくい。そういうことからもこれからの日本でこの業界が成長していくということはないと思います。ただ、アメリカやインドは人口が増えている。そういう国の成長率は順調に推移していくでしょう。今我々としては日本でカラーダイヤのような珍しい商材を使って確固たる地位を築いた上で、その販売ノウハウを世界に持っていけるところまでいければこれからも長く続けていけるのではないかと思います」


−人生において一番大変だったこと

「それは間違いなくイタリアですね。2004年にイタリアに初めて行った時は本当にピザとパスタしかしらなかった。朝9時から昼の1時までイタリア語の学校に行って、その後自分のお店に行って、それまでに責任者不在ながらお店はオープンしていたので、そこで複雑になってしまった手続きなどを処理していました。そこからイタリア語の宿題をやって1時や2時に寝るという生活を半年くらいやっていました。イタリアという国を我々が扱う宝石でどうやって攻略するかを考えていました。最初の3〜5年は今思い出しても本当に辛かったです。差別をされたとかそういうことではないですが、その国にアジャストするのには時間がかかりました」


−創業を目指す人にアドバイスを

「一番大切なのは意志を示すことだと思います。自分がイタリアに行った時、外国人なので、自分が意志を示さなければ誰かが黙っている人を引き上げてくれることはない。なんであれ、自分がどうしたいのかという意志を明確に示すということが一番大切だと思います。自分が会社を経営していてスタッフもいますが、一番スタッフに言うフレーズは「どうしたいの?」と聞きます。報告をしてきても、自分がどうしたいのかということが一番大切でそれをある程度示してたからこそある程度イタリアでもやれたし、今特別なルートで仕入れができているのもそうだと思います」


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