岡田美香さん(エステティシャン)
“くびれのカリスマ”と呼ばれるエステティシャン、岡田美香さん。東京で「Micael Paume(ミカエルポウム)」「くびれYa」という2つのサロンを経営する岡田さんは、これまで担当したクライアント「累計7万2000人をくびれさせた」という。女性の体型、とりわけ骨格についての研究を重ねている岡田さんは、カイロドクター、整体師など数多くの資格を持つ。それらの知識とこれまで培ってきた技術に加え、最新鋭のマシンを駆使した施術は、芸能人やモデルからも絶大な信頼を得ている。
■とにかく細くなりたがる日本の女性たち
−−岡田先生が考える女性の理想の体型とはどのようなものですか?
「日本の女の子は特に『もうとにかく細くなりたい!』という方が多いとは思うんですけれど、やっぱりメリハリがあった方がいいですよね。男性が思う理想の体型よりも、もっと細くなりたがるんです。その気持ちはわかるんですが、私が思っている理想はやっぱり丸みがあって、ラインが綺麗な人かなと思います。」
−−今まで7万2千人をくびれさせた先生ですが、その最初のきっかけは?
「私はもう20歳のときから32年エステをやっているので、気が付けば7万人くらいになっちゃって、その人数は単に年齢と比例しているのかなと思うんですがね(笑)。
最初のきっかけというのは、大きなサロンに勤めている頃、エステティシャンの仲間たちがあまりにも仕事が忙しいので便秘になりがちで、『おなかが痛い』という人が多かったんです。そこでおなかをマッサージしてあげていたら、『美香さんにマッサージしてもらうと便秘が解消する』と仲間うちから評判になりまして、それから毎日お客さん以外にスタッフのマッサージをすることになりました(笑)。
でも、脚やお顔やいろいろなマッサージのメニューがある中で、私はおなかが一番効果を感じたんですね。やはり内臓がある部分だし、同じ脂肪を燃やすにしても、おなかだとその中のガスとか内臓脂肪とか、脚や腕にはない部分がありますよね。そこが変わると体全体の代謝が良くなりますし、おなかは他のパーツとは違う喜びがあると感じました。腸内が活発になったらデトックスにもなるし、吸収もよくなる。逆にここのオペレーションが悪いと太ってきたりむくんできたりします。流れが良くなるから、吸収はしても、ちゃんと排泄できる。やっぱりこれが大切。太っている人と細い人の違いは出す量だと思うんですよ(笑)出せるようになれば細くなると思います。シンプルですけどね。たとえば太ったマウスに細いマウスの腸内菌を移植したら、細くなったという実験もありますから、腸内の環境は体型にもすごく関係あるかなと思っています」
■コンセプトの異なる二つのサロンを経営
−−今のサロンの特徴は?
「エステティシャンになって35年、独立してから15年くらいになります。今『くびれYa(くびれや)』と『Micael Paume(ミカエルポウム)』というお店二つをやっていますが、元々はどのパーツも全部やるというものでした。
でも、おなかだけちょっと集中したいなと思って始めたのが「くびれYa」なんです。私の施術とスタッフの施術とで料金を変えていますので、少しお値段を安くいっぱい来たいなという方にはスタッフがやっていますし、しっかり効果を出したいという方たちは私がやるという、そういう感じです。これについてはお客様のお金の使い方というか価値観の問題なので、自分の体だからきちんとお金をかけてケアしようという方と、そんなにエステにはお金をかけたくないという方もいますから。いろいろな人に来ていただけるようにベースを変えている感じです。
「くびれYa」は、最初私もくびれの専門店ということで出したんですが、皆さんおなかがくびれてきたら、次は脚もやりたい、腕もやりたい、顔もやりたいということになるので、結局今はどこでもやりますし、いろいろなメニューがあります」
−−くびれ専門店というのはユニークですが、どのくらい通えば効果がありますか?
「私が独立してお店をつくったときには、くびれ専門というのは私のお店しかありませんでした。今では似たようなお店も出てきましたが、でも、「くびれYa」というのは名前にインパクトがありますから、何をするところかわかりやすいと言われます(笑)
今では中国の方やインバウンドの旅行者の方にも結構来ていただいていますよ。ただ、一度の施術でも効果はあるのですが、それを続けることによってデトックスをちゃんとできる体になるので、そうなるまでは、何回かは来てほしいですね」
−−8年連続で口コミサイトのナンバー1に輝いています。その秘訣は?
「そうですね。私が行なっている『おなかのガス抜き』というのは、いろいろなエステに行っている方も初めて経験しましたとおっしゃるので、多分日本でも世界でも初めての施術。これは私独自の研究で、介護とか整体とかの資格をたくさんとって、その中で組み合わせてできた施術なんです。だから、誰に教わったわけでもないし、自分で考えてやっているものになります。
本当はよく教えてくださいって言われるんですよね、ただ生徒さんに教えるよりも私はお客さんの施術をする方が好きなんです。もちろんうちのスタッフには教えていますけど、でもまったく同じにできるかっていうと、なんか難しい。 だから教えてないですね(笑)本当は教育して後進を育てて、多くの人に伝えた方がいいとは思うんですけれどね」
■他店にはない施術と設備で効果を上げる
−−初めての人はどのような基準でメニューを選べばよいでしょうか?
「だいたい初めて来るお客様は皆さん、『おなかも脚も腕も気になる』とおっしゃって迷われるんですが、もしどこか1つしかしないと思っているのなら、『おなかをしてください』とお勧めしています。おなかの施術が一番体が変わると思うんですよ。デトックスできるようにもなります。だから迷ったらまずはおなかをやってほしいと思います。
そしておなかで効果を感じてもらったら、また来てくださると思っているので、うちは回数券の販売はしないんです。だから、気に入らなかったらもう来ないですよね。そこは自分との戦いというか、常に1回でお客様が満足する施術をすることを心がけています」
−−サロンの設備も他店にはない特別なものがあると聞いていますが?
「たとえばベッドは多分まだ日本でもこのメーカー直営のエステ以外ではうちしか入ってないウォーターベッドです。電気がつくので温かいし、水に浮いている感じで気持ちがいいんですね。そしてウォーターということはお水の反発があるので。私がぐっと押したら下から反発して、両方でマッサージする効果があるんです。普通の硬いベッドで施術するよりは、水の波と手の両方から、お客様の流れをよくすることができます」
−−すでに15年くらいサロン経営をされていますが、経営で一番大事にしていることは?
「これは難しいですね…。私は経営者としてはあまりいい経営者ではないと思うのですが、ただ、営業時間はすごく長くしているんです。朝7時から深夜25時までやっていて、お客様のいろんな状況に合わせて受け入れています。
美容家でも夕方になるとシャンパンをピューっと空けて…なんていう人もいるじゃないですか(笑)私はお酒も飲まないというのもありますが、自分の時間をとにかくお客様に使っていると思います。だから海外にもあまり行ったことがないし、行っても日帰りで韓国に行って帰ってくるとか(笑)、3連休のお休みをほとんどとったことがないんです。
私は時短でうまく回すとかが苦手な人なんですね。経営者っていうのはそういうのをやっていくことなんだろうなとは思うんですけれど。それこそさっきも言いましたが、いっぱい自分の代わりになるスタッフを育てて、自分はなるべく出ていかないっていう思考であった方が、本当は経営者らしいのかなとは思うんですけれど、結構自分でやっちゃうタイプというか、上手な経営者じゃないです。もうちょっとうまく器用に生きられたらいいんです けれど、やっぱり現場向きなんですね。周囲にも50歳過ぎてくるといい加減に同じようにはできなくなりますよとは言われるんですけれど、結局そうなっちゃう(笑)」
−−では、一番苦労されたことはどんなことでしょうか?
「独立してからは辛かったことというのはないです。もちろん売り上げがあんまり上がらないというようなことはあったかもしれないのですが、でも、とにかく時間を長くやっちゃうから、そこまで売上は下がらないんですよ(笑)。ですから、あまり悩んだことないですね。
むしろ、大手で働いているときに、当時の上司と意見がずれたりとか、言うことが常に変わるので、どうしたらいいか分からなかったりとか、それが一番辛かったですね。今、自分がその方と同じぐらいの年代になっているので、今度は私がスタッフに対してそういう人になってないかをチェックしながらやってます(笑)」
−−一今後やられてみたいことは、何かございますか?
「最近、コルセットを開発しましたので、ぜひ皆さんにしていただきたいと思っています。そのコルセットは肋骨を閉めることができるんですが、おそらく肋骨を閉めると苦しいっていうイメージがあると思うんですが、でも肋骨が閉まると、意外と酸素が入ってくるものなんです。内側のお肌に当たる部分はシルクなので、夏でも暑苦しくないですし、これをしていただくときれいにくびれてきます。結構いろいろなコルセットを試してこられた方でも『これはすごい』と言ってもらっています。これは一から私が独自に開発をしたものなので、ぜひ広めたいです。そしてもしかしたら、これが売れると私が働かなくてもちょっとは良くなるかもしれませんね(笑)」
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